梨状筋~坐骨神経痛の影の主役~
梨状筋は、お尻の奥に隠れた筋肉。
不思議な名前の由来は、西洋梨。
梨状筋と西洋梨が似た形だから、だそうです。
似てるといえば、似てる?
『深層外旋六筋』と言われる、股関節を外向きに開く筋肉の一つで、
クラシックバレエの、つま先を開いたポジションをとる時などに重要な働きをします。
さて、この梨状筋、臨床的には非常に重要です。
というのも、すぐそばを坐骨神経が走っているから。
体の構造には一部個人差があり、梨状筋と坐骨神経の位置関係にもそれが当てはまります。
人口のおおよそ、
(a).85%は、坐骨神経が梨状筋の下から
(b).15%は、梨状筋を突っ切って
(c).0.5%は、梨状筋の上下にわかれて
このうち最も(b)タイプが梨状筋の影響を受けやすいですが、いずれのタイプでも
梨状筋が固く緊張すると、神経症状を出す恐れがあり、これを『梨状筋症候群』と言います。
梨状筋症候群は坐骨神経の障害によるものなので、坐骨神経の通り道上(お尻~脚の後面)に
しびれ・刺痛・灼熱感・過敏症など、はっきりした神経症状を呈することが多いです。
また厄介なのが、梨状筋そのもののトリガーポイントによる症状もある、ということ。
梨状筋は、臀部から太もも裏側に関連痛を出し、これは坐骨神経の通り道と重なります。
つまり、梨状筋症候群と梨状筋トリガーポイントによる症状は、一部見分けがつかず、
神経・筋肉どちらのトラブルなのか判別しづらいということが言えます。
トリガーポイントの場合、筋硬直の解消具合と比例して症状が軽減しますが、
神経症状の場合、神経の絞扼が解消されても、過剰に興奮した神経はすぐには落ち着かず、
しばらく症状が長引く場合があります。
(正座のあとの足のしびれのように)