胸鎖乳突筋
漢字テストの書き取りのようにややこしい名前。
胸骨と鎖骨から、耳の下の出っ張った骨:乳様突起までを結ぶ筋肉だから胸鎖乳突筋。
この筋肉の担う役割はとても大きく、多くの筋肉が協働している首の後ろ側に対して、前で頭を支え・動かす役割を一手に引き受けて孤軍奮闘しています。
通常私たちが痛みや辛さを感じやすいのは首の後ろ側ですが、この胸鎖乳突筋の硬直は多くのトラブルを引き起こしやすく、見過ごすことはできません。
体重の10%である頭が消費する酸素量は全身の20%に及びます。それほどまでに頭に血液を行きわたらせるのは重要なことですが、頭部に向かう血管は2ルート。
椎骨動脈と頸動脈。胸鎖乳突筋は頸動脈のすぐそばを走っており、胸鎖乳突筋の硬直は頸動脈の圧迫、ひいては頭部へのスムーズな血流の妨げになってしまいます。
この本質が起こす問題は多岐にわたり、耳への血流不足が耳の聞こえを悪くしたり、内耳に届く血行が悪くなると平衡感覚が影響されてめまいを起こしたり、目に十分な血液が巡らないことで眼精疲労や目のかすみ・気付かない間に視界が暗くなったり、一見、筋肉に原因があるとは思いもつかない不調を招きます。
また胸鎖乳突筋のトリガーポイントも、目の奥や耳の奥・耳の後ろ、頭頂部、奥歯など、多くの関連痛を出します。
特に、こめかみや頭頂部の頭痛にはかなり深くかかわっており、日常的にいたわっておきたい筋肉の筆頭格と言えます。
この筋肉は比較的わかりやすく触れやすいので、ご自分でもつまむなどしてケアしておくことをお勧めします。