マスクが招く~頭痛や歯痛~
整体の仕事をしていると、その時代のトレンドを感じることがあります。
『ストレートネック』は、もはやよく耳にする一般用語になりました。
今では『スマホネック』と一段進化した呼び名で呼ばれることもありますね。
さて、『歯列接触癖』って聞いたことありますか?
英語ではTooth Contacting Habit (TCH)と言われ、『噛みしめ症候群』と呼ばれることもあるそうです。
通常私たちの口の中では、口を閉じている時でも上下の前歯はくっつくことなく隙間が空いています。
この時、顎の筋肉は適度に弛緩しています。
しかし歯列接触癖の場合、上下の前歯が触れ合ってしまっていて、噛みしめた時ほどではないものの筋肉が緊張しています。
この状態が長時間続けば、(地味に筋トレし続けているようなものなので)必要以上の緊張が顎の筋肉を硬直させ、いらぬ疲労感を招いたり、顎の動きを悪くする原因になってしまいます。
実際に施術で皆さんの顎に触れると、ぐりぐりと立派なしこりに成長しているケースに出くわすことも少なくありません。
これまでの施術では触ってもそれほど固さを感じなかった方でも、最近はっきりと固くなってしまっているような事例が多くなっているように見受けられます。
施術後に「顎がすごく効きました」という感想も良く聞くようになりました。
これは(私見ですが)どうも、コロナ禍の影響でしょうか。
コミュニケーションの場が減り、ひとと喋る機会が減ったこと。
自宅で簡単なご飯で済ませることが多くなり、嚙む回数や硬いものを噛む頻度が減った可能性。
そして何より、外出時には標準となった『マスク着用』の影響が無視できないように思います。
顎は、ずれることで開く特殊な関節です。
マスク着用により、紐のかかる耳と顎がわずかに締め付けられる緊張感が持続する、またマスクを付けたまま喋る時の若干の口の動きへの負荷、などにより自覚のないままに顎の筋肉が凝ってきます。
行動制限やコロナへの不安によるストレスで、無意識に噛みしめる方も増えているのかもしれません。
いずれにしても、顎の過緊張を放置しておくと、凝りからくるだるさだけでなく、口の開閉に支障をきたす顎関節症や、顎の筋肉<咬筋>のトリガーポイントが引き起こす歯の痛み!(歯痛の原因は虫歯だけではないんです)、また発声に関わる部分も硬化させてしまい声が出にくくなるという弊害を招くこともあります。
また咬筋の緊張は、側頭筋の緊張につながり、結果として筋緊張性頭痛を引き起こす原因にもなります。
ご自分で触れられる部分ですから、定期的に触って確認してみて、固さを感じられるようでしたら、指先から指の腹でぐりぐりとマッサージすることをお勧めします。
また、マスク着用時や着用後には、周りにひとのいないタイミングで、「あー」と大きく口を開けること。
縮こまった咬筋をストレッチしましょう。
ただし、いきなり大口を開けるのはリスクを伴います。
あくびをしてから、もう少しだけ積極的に開けるぐらいがいいかと思います。
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